前十字靭帯損傷(ACL損傷)について
前十字靭帯損傷(ACL損傷)とは?
前十字靭帯は、全長約35mm、横径約10mmの靭帯です。大腿骨と脛骨をつないでおり、大腿骨に対して脛骨の前方移動、膝関節の内旋、過伸展などを制御しています。
スポーツ活動や交通事故のような強い外力により断裂することがあります。
スポーツでは、バレーなどのジャンプ着地やサッカーなどの切り返しで断裂することがあり、男性より女性の方が損傷しやすくなっています。
前十字靭帯が損傷または断裂した場合は、手術適応になり放置しておくと膝の不安定感が残存して将来は、変形性膝関節症になる可能性が高まります。
症状
主な症状は、膝関節の不安定感です(グラグラする)
損傷する時には、靭帯が切れるような違和感で「プチッ」や「グニュ」のような感覚が膝の深部で感じます。
その後は、徐々に痛みと関節の腫れが起こり、膝周りのハリ感を自覚します。
損傷初期は、靭帯からの出血で血が溜まっておりそれが関節の安定性に関与して歩けてたりしますが、数週間で血の塊が吸収されてその後膝の不安定感が現れます。
歩行時の膝くずれ(膝に力が入らない)も前十字靭帯損傷の特徴であります。
痛みの原因は?
靭帯が損傷する時は、長軸方向への伸張ストレスによるものが多く、特定の動作の反復により靭帯が微細な損傷が蓄積し、結果的には断裂する確率が高くなる。
前十字靭帯は、膝関節の外反、内旋、脛骨の前方移動で断裂しやすくなっています。
特に、ジャンプ着地や切り返しなどの膝のポジションで取りやすく損傷しやすくなっています。
上記のような、非接触型の損傷ではカラダの使い方などが不十分な可能性が高いです。
鑑別方法
問診
受傷した時の場面を確認します。
- どのような肢位だったのか?
- 何をして受傷したのか?
- その時のコンディションはどうだったのか?
- 既往歴の有無
- 膝の違和感や音がなった感覚があるかどうか?
触診・各種検査
前十字靭帯損傷の検査は、靭帯が正常に機能しているかを判断するために行います。
損傷側と正常側の両方を確認して、靭帯の緩さを確認します。靭帯が損傷していなくても初めから靭帯が少し緩くなっている方もいるので必ず左右差を確認します。
ラックマンテスト:スポーツ現場において非常に有用な検査になり、受傷直後から検査が可能です。
仰向けになり、膝を少し曲げて大腿骨に対して脛骨を前方に移動させて、靭帯の制動があるか確認します。
靭帯が断裂している場合は、制御がなく関節の動きが異常になっている。
前方引き出しテスト:仰向けになり膝を90°に位置させて、脛骨を前方に引き出して靭帯が正常に働いてきのか確認する。
ラックマンテストと同じに断裂の場合は脛骨が大腿骨に対して前方に異常に移動することが確認できます。
当院の施術
上記のテストを行い、靭帯の断裂が確認できた場合はすぐに病院や整形外科に通院を促します。
前十字靭帯損傷は、ほぼ手術が適応する場合が多いです。
当院で施術するものでは手術後のリハビリやエクササイズなどです。
【ステップ1】緩める
手術後では、固定になどにより膝周りの組織が硬く、機能低下も起こしているため、最初のステップとして、緊張している筋肉の柔軟性を改善させることや、組織間や筋膜の滑走性をさせます。
特に、手術跡の膝蓋靭帯部の組織(靭帯や脂肪体など)にアプローチを行います。
【ステップ2】整える
筋肉や組織間の滑走性が出たら、関節可動域を整えていきます。
膝関節には伸ばしたり、曲げたりする蝶番のような関節運動の中に少しの回旋も入ります。その回旋の動きが制限されると膝の伸びや曲げることが制限されて、歩行運動や階段動作に影響があります。
生理的な関節運動を行えるように徒手的に整えていきます。
正常に関節が動かない場合は様々なところで代償してしまい、膝以外にも影響が出てしまいます。
【ステップ3】鍛える
関節運動を維持できるように筋肉の強化をしていきます。
運動療法の筋力強化により痛みが軽減し、関節の安定にも作用します。
必ず行います、筋力強化が不十分な場合は、再断裂が起こりスポーツ活動や日常生活にも影響が起こるため、負傷する前よりも禁漁区の強化が必要です。
そして、運動動作の修正も行い、競技特性を考えたリハビリも行う必要があります。