肩を抑えている高齢女性

肩関節周囲炎(五十肩)

50~60代に多く起こるため『五十肩』とも言われていますが、正式な診断名は『肩関節周囲炎』といい。
海外では、frozen shoulder(凍結肩)と呼ばれています。

特徴としては、「痛み」が主症状で、夜間痛や肩関節の可動域制限も起こり日常生活や仕事にも影響が出てしまい、適切な治療をおこなわないと治癒までに時間がかかる特徴があります。(1年以上かかるケースが多い)

そして、痛みがなくなったとしても可動域制限などの生活に支障(腰に手が回らない、髪の毛をセットできないなど)が残ることがあるので、放置せずに早期から治療を行うことをお勧めします。

症状

典型的な肩関節周囲炎は、3つの段階を経て治癒をしていきます。(放置した状態だと1〜4年くらいの経過で治癒していきます)

  • 炎症期:発症初期の状態です。炎症期では、『痛み』が著明に出現します。安静にしていてもズキズキ・ジンジンとした性質の痛みや肩関節が腫れている感覚があり熱感を訴えることもあります。
    特に、寝ているときに痛みを訴え(夜間痛)、なかなか寝ることができずに睡眠障害も経験する方もいます。
  • 拘縮期:この段階は、痛みが落ち着き『可動域制限』が強くおきます。
    肩が挙げれず髪の毛を洗えない、腰に手を回せなくてエプロンが結べないなどの日常生活に支障が出てきます。無理に肩を動かすと痛みが出現して、また炎症が起きることもあります。
  • 回復期『痛み』『可動域制限』も落ち着き始めて、肩が動き始めるようになります。
    しかし、完全に可動域が改善されることは少なく、痛みがなかった側の肩よりも制限が残ることが多いです。そのほか、肩を動かしていくことで、疲れやすいなどの訴えもあります。

原因

明らかな原因は不明なことが多いです。

治療をうけられる方は、『特に痛めるような事はしてません』と言われることが多いです。

しかし、炎症が起こっている組織は、肩関節の動きを制御している「筋肉(腱板)や靭帯、腱」や肩関節を覆っている「関節包」、組織間の動きを円滑にしている「滑液包」とよくストレスが加わりやすい部位となっています。

そして、50〜60代に多く見られるため、加齢による組織の老化や不良姿勢で肩関節に繰り返しのストレスが過剰に加わり炎症症状が出現したと考えています。

当院の施術

肩関節周囲炎の施術方針は、3つの段階を見極めて選択的におこないます。

  1. 炎症期:夜間痛や安静時痛が強い場合は、整形外科の受診を促しています。(こちらで整形外科への紹介状を作成します)薬や注射などの『痛み』を抑えることを第一優先としているためです。 
    その後、痛みが治まってきたことを確認できた場合は、夜寝る時の注意点や肩関節以外の運動を指導します。
  2. 拘縮期:痛みをコントロールして『可動域の改善』を行います。
    強い刺激を組織に与えすぎると再度炎症が出現しますのでコミュニケーションを取りながら施術を行います。組織間の滑走性を出すための手技と肩関節周囲の緊張を取り除くために軽い運動をおこなっています。
  3. 回復期:可動域の左右差がない状態まで施術を行うとともに、繰り返しのストレスに耐えれる状態を確保するためにトレーニングを行います。
    トレーニングは、肩関節のみではなく間接的の原因である不良姿勢改善や効率良いカラダの使い方も指導していきます。