半月板損傷について
半月板とは?
半月板は、大腿骨と脛骨の骨の間に位置しており、膝の荷重などの負担を軽減させるクッション作用(衝撃吸収)と関節安定化、関節軟骨の潤滑と栄養といった役割をしています。
半月板は、コラーゲンが主要成分として確認されており、少量エラスチンが存在してます。
そして、水分含有量が大きいことで衝撃吸収を可能としています。
特徴として半月板を横から観察すると、半月板の外側(辺縁部)は幅が広く内側(中心部)になるにつれて細くなっていきます。
そして半月板は、外側(辺縁部)は血管分布が豊富ですが、内側(中心部)は血管が乏しく内側の治癒の期待が見込めないです。
神経分布も血管の分布と同じように外側には多く分布しており、内側に連れて神経の分布も乏しくなっていきます。
半月板は、スポーツ時の損傷や変形性膝関節症のような加齢による変性で損傷しやすくなります。
症状
関節裂隙の痛みとクリック音や引っかかり感(ロッキング)を主症状として、歩行時の膝くずれも認めることがあります。
特に、膝を深く曲げ時や伸ばすのを強制した際には、膝の前や後ろに痛みが出現することが多いです。
内側半月板では、縦断裂や水平断裂、バケツ用断裂などがあり、外側半月板では、遺伝性に起こる円板状半月損傷があります。
痛みの原因は?
半月板は、大きく分けて急性損傷と慢性損傷に分けられます。
急性損傷:サッカーやラグビー、水泳、ランニングのようなスポーツを行う方に多く出現します。そして、接触型と非接触型に分類されています。
靭帯損傷と同じように一回の大きな外力で損傷する接触型とカッティングのような捻る動作による損傷の非接触型があります。
ランニングのような、繰り返し加わる負荷により半月板の厚さが減り、変性や損傷に繋がることがあります。
上記も記載した通り、半月板の神経は外側(辺縁部)に集中しているため、何らかのストレスがかかり痛みが出現している可能性があります。
慢性損傷:加齢などの半月板自体の変性により損傷することがあります。
多くは、高齢、男性、体重過多といった問題があり、特に膝に過度な負荷が日常生活や仕事でかかる方に多く出現しています。
遺伝的要素もあり、円盤状半月板と言われる状態により急に痛みが出現することもあります。
鑑別方法
問診
スポーツ活動時の損傷か仕事や日常生活の際に痛みが出てきたのかを確認します。
そして、膝の「引っかかり感」「膝くずれ」も半月板の鑑別として確認します。
しかし、スポーツ時の損傷では、はっきりと痛めた状態を認識できていないことが多いので、痛みのでる前の状態(サッカーならば相手を抜こうとしていたなど)を詳しく聴取します。
損傷しやすいストレスとして、荷重時のような圧迫されている状態から半月板に回旋ストレスが加わると損傷しやすくなるため片方に体重がかかっていたのか、深く膝を曲げていたのかなど聴取します。
触診・各種検査
半月板は、関節の中にあるために、筋肉のようなはっきりとした判断はできませんが、圧痛と検査法で鑑別をしていきます。
触診:関節裂隙後方を痛みの触診として訴えることが多いです。前面は靭帯や脂肪体などがあるために痛みを訴えていても判別ができないのですが、後方は筋肉や靭帯も少ないので判断がしやすいです。
軽く膝を曲げて、関節裂隙の赤い部分に圧痛を訴えることがあります。
そして、半月板に負荷を与えて痛みを誘発する方法もあります。
Apleyテスト:うつ伏せで行います。膝を曲げて痛みがある角度で脛骨長軸方向に軸圧をかけながら膝を内旋・外旋させて半月板にストレスを加えます。痛みが出現した際は半月板の損傷を認められますが、軽度だと痛みが出ない場合があります。
McMurrayテスト:仰向けで行います。膝を軽く曲げて下腿部を回旋させながら膝を伸ばしていき、ひっかかり感や痛み、クリック音を確認します。内側半月板は、下腿の外旋で伸ばして症状の出現。外側半月板は、下腿を内旋で伸ばして症状が出現します。
半月板はまず保存療法で治療することが多いですが、痛みの激しいものや引っかかりが強い状態は、すぐに病院や整形外科に受診する必要があります。半月板は、レントゲンでは確認できないため、MRI検査を行います。
当院の施術
直接、半月板にはアプローチができないので施術は、半月板にかかるストレスを軽減させていきます。
関節の腫れや急性期の場合は、半月板の安静を優先して炎症を抑えます。
【ステップ1】緩める
半月板の前後には、靭帯や筋肉が付着しており、その靭帯や筋肉の影響も受けます。
半月板前面は、膝蓋靭帯や膝蓋下脂肪体などの組織が、半月板後面は、内側は半腱様筋腱、外側は膝窩筋が付着しています。
それらの緊張や滑走不全により半月板まで影響して関節運動に異常を起こし詰まり感などの痛みとして出現します。
【ステップ2】整える
膝の曲げ伸ばしにより半月板は前後に移動します、その移動距離が確保できない場合は、半月板の詰まりとして痛みを自覚します。
そのため、半月板に付着している筋肉にアプローチした後に半月板の動きを整える必要があります。
そして、膝関節の位置異常(O脚やX脚)でも半月板に負担がかかりますので、位置(アライメント)を修正していきます。
【ステップ3】鍛える
半月板損傷は、靭帯損傷と同じように組織にかかるストレスを軽減させないと、繰り返し負担がかかるため慢性化しやすい疾患です。
運動療法は、様々な治療ガイドラインで推奨されており、筋力強化により痛みが軽減する症例が多くあります。そして、運動時の膝の負担を軽減させる動作の修正も並行に行います。
なぜなら、半月板に繰り返しストレスがかかるようになると、変形性膝関節症の進行が進み、将来は人工関節になることが高くなります。
そのため、当院では、再発予防の取り組みを重視しています。