オスグッド・シュラッター病(成長痛)について
オスグッド・シュラッター病(成長痛)とは?
成長痛スポーツ障害の代表疾患の一つになります。
オスグッド・シュラッター病は脛骨粗面部に発症する骨端症で、10〜16歳前後に好発します。
10〜12歳は、思春期の第二次成長期に子供のカラダから大人のカラダへ大きく変化する時期になります。その時期の骨成長で軟部組織の伸長が間に合わずに、筋・腱が短縮して脛骨粗面を牽引ストレスが加わり、同部位の炎症や部分的に剥離されたり、骨折が出現します。
治療は主に保存療法であり、脛骨粗面に加わるストレスを排除することが大切になります。
オスグッド・シュラッター病の慢性化では骨の膨隆が残存して、圧迫による痛みや少しでも触れる(正座の地面との接触など)ことで痛みが出現することがあるので、早期治療による慢性化しない取り組みが重要です。
症状
脛骨粗面部に付着している組織の伸長ストレスが加わることによる痛みが主症状です。
膝を曲げる動作(しゃがみこみ動作)や大腿四頭筋の収縮などに痛みが出現します。
そして、骨自体の炎症も起こることも多いため、圧痛も強く症状として出現します。
痛みの原因は?
痛みの原因は、ストレスに弱い脛骨粗面の骨端軟骨に対して、大腿四頭筋の牽引ストレスが繰り返し加わることにより、症状が出現されます。
大腿四頭筋の中でも大腿直筋がもっとも関与しており、大腿直筋の硬さと脛骨粗面部の痛みの度合いの関係性は強いと言われています。
筋の硬さのみのではなく、スポーツや日常生活のカラダの使い方により大腿四頭筋の筋緊張が生じることが多く、特にスクワットやジャンプ着地の膝関節や股関節の運動連鎖により痛みが出現するため、患部のみの筋緊張を軽減するだけではなくカラダ(特に下半身)の動かし方を修正する必要があります。
鑑別方法
問診
- 年齢(10〜16歳前後)
- 練習内容(ジャンプやスクワットのような動作が多いのか)
- 練習量の変化(ダッシュなどの下半身メニューが増えた)
- ストレッチの頻度
などのスポーツ活動に対する問診が多くなります。
そのほかに、脛骨粗面部に何かの衝撃が加わることでも痛みが出現することがあるので聴取します。
触診・各種検査
脛骨粗面部の圧痛、腫れの触診を行います。
そして、屈伸のような膝を深く曲げる動作を行い、脛骨粗面にストレスを与えて痛みの再現性を確認します。
検査として、大腿直筋短縮テストがあり、うつ伏せになり片方の膝を曲げて痛みなく踵とお尻が付くかどうかを確認します。
膝がお尻につかない方は、陽性になり硬さが著明で柔軟性の低下が確認できます。
当院の施術
まずは、患部の状態を確認します。
急性期(痛みが出て数日)の場合は、痛みが強く炎症も強いため、患部の安静や炎症を抑えるアイシングなどを行います。
そして、患部外へのアプローチを行います。
具体的には、股関節や足関節への施術を行い、膝に加わるストレスを軽減させることをメインにします。
慢性期だと、炎症が治まっていることが多いため靭帯の組織や筋膜や筋腱の滑走性を出すように施術を行います。
患部への施術の後は、繰り返し加わるストレスを改善させないとまた同じ痛みが生じるため、全身的な運動の修正を行います。
【ステップ1】緩める
最初のステップ1として、緊張している筋肉の柔軟性を改善させることや、組織間や筋膜の滑走性をさせます。
炎症が起こっている脛骨粗面部の組織(靭帯や脂肪体など)にアプローチを行います。
【ステップ2】整える
ステップ1で筋肉や組織間の滑走性が出たら、関節可動域を整えていきます。
膝関節には伸ばしたり、曲げたりする蝶番のような関節運動の中に少しの回旋も入ります。その回旋の動きが制限されると膝の伸びや曲げることが制限されて、歩行運動や階段動作に影響があります。
生理的な関節運動を行えるように徒手的に整えていきます。
【ステップ3】鍛える
ステップ2で整えた関節運動を維持できるように筋肉の強化をしていきます。
運動療法の筋力強化により痛みが軽減し、関節の安定にも作用します。
痛みが原因で、膝回りの筋力の発揮が低下しているために出力を入れることから始め、スクワットやジャンプ着地などにストレスが加わらない膝関節や股関節の修正を行います。
痛みがなくなった場合もリハビリを行わずに運動に参加すると脛骨粗面に付着している靭帯の強化ができずに、慢性化しやすいため膝回りの強化は必ず行うようにしましょう。