膝蓋腱炎(ジャンパー膝)について
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)とは?
膝蓋靱帯は、膝蓋骨(お皿)と脛骨をつなぐ強靭な靭帯で、膝関節の曲げ伸ばしに重要な役割を担っています。
膝伸展機構(大腿四頭筋ー膝蓋骨ー膝蓋靱帯)として、膝の伸展に関与しています。
その膝蓋靱帯の微小断裂により痛みが出現することを、膝蓋腱炎といいジャンプ動作で出現することが多いため、ジャンパー膝とも呼ばれています。
症状
主症状として、膝の曲げる動作特にジャンプ動作、階段の昇り降りの際にも痛みが出現します。
初期症状として、運動後のみの痛みや違和感があり、症状が強くなるにつれて曲げる動作や歩くことでも痛みで困難になります。
慢性化しやすい疾患で運動中止して時は、痛みがおさまったとしても再度、運動再開すると痛みが出現します。
膝蓋腱へのストレス軽減するリハビリ(動作修正など)を行うことで、再発予防が可能になります。
痛みの原因は?
膝蓋腱に繰り返しの伸長ストレスが加わることで、靭帯に微小な断裂が炎症につながり出現します。
- 大腿四頭筋の緊張により膝蓋骨が上方、後傾位に変位し、靭帯に伸長ストレスが加わる
- 大腿外側部の組織の緊張により、膝蓋骨が上外方に変位し、靭帯に伸長ストレスが加わる
などが痛みの原因になります。
しかし、足関節や股関節、骨盤の可動域や硬さにより動作の影響で大腿部の緊張につながり膝蓋腱の伸長ストレスに関与してることもあります。
鑑別方法
問診
部活やスポーツ活動の種類を確認したり、練習量や内容の変化を聴取して、膝への負担が加わっているのかを確認します。
そのほか、過去に膝の外傷や障害があったか確認します。
触診・各種検査
圧痛では、膝蓋靭帯の膝蓋骨側と脛骨側の付着部に圧痛と浮腫がみられます。
①膝蓋腱付着部が発症部位として多く②大腿四頭筋腱付着部③脛骨粗面付着部がついで多いです。
そして、屈伸のような膝を深く曲げる動作を行い、脛骨粗面にストレスを与えて痛みの再現性を確認します。
検査として、大腿直筋短縮テストがあり、うつ伏せになり片方の膝を曲げて痛みなく踵とお尻が付くかどうかを確認します。
膝がお尻につかない方は、陽性になり硬さが著明で柔軟性の低下が確認できます。
当院の施術
まずは、患部の状態を確認します。
急性期(痛みが出て数日)の場合は、痛みが強く炎症も強いため、患部の安静や炎症を抑えるアイシングなどを行います。
そして、患部外へのアプローチを行います。
具体的には、股関節や足関節への施術を行い、膝に加わるストレスを軽減させることをメインにします。
慢性期だと、炎症が治まっていることが多いため靭帯の組織や筋膜や筋腱の滑走性を出すように施術を行います。
患部への施術の後は、繰り返し加わるストレスを改善させないとまた同じ痛みが生じるため、全身的な運動の修正を行います。
【ステップ1】緩める
最初のステップ1として、緊張している筋肉の柔軟性を改善させることや、組織間や筋膜の滑走性をさせます。
炎症が起こっている膝蓋靭帯部の組織(靭帯や脂肪体など)にアプローチを行います。
【ステップ2】整える
ステップ1で筋肉や組織間の滑走性が出たら、関節可動域を整えていきます。
膝関節には伸ばしたり、曲げたりする蝶番のような関節運動の中に少しの回旋も入ります。その回旋の動きが制限されると膝の伸びや曲げることが制限されて、歩行運動や階段動作に影響があります。
生理的な関節運動を行えるように徒手的に整えていきます。
【ステップ3】鍛える
ステップ2で整えた関節運動を維持できるように筋肉の強化をしていきます。
運動療法の筋力強化により痛みが軽減し、関節の安定にも作用します。
痛みが原因で、膝回りの筋力の発揮が低下しているために出力を入れることから始め、スクワットやジャンプ着地などにストレスが加わらない膝関節や股関節の修正を行います。
痛みがなくなった場合もリハビリを行わずに運動に参加すると靭帯の強化ができずに、慢性化しやすいため膝回りの強化は必ず行うようにしましょう。